子どものめまいの症状はどのような病気の可能性がありますか
ご相談者様

うちの子は3歳なのですが、最近「ぐるぐる回る感じがする」と言うことがあります。めまいを感じているようで、何か深刻な病気、もしくはその前触れなのではと心配しているのですが……どうすればいいのでしょうか。
-
子どものめまいですね。まず子どものめまいには、大人のめまいと異なる点があります。
-
なんでしょうか。
-
それは、「本人が訴えるか否か」。今回の相談者さんのように、お子さんが自ら「めまいがする」と言い出すことは珍しいですね。
-
親など、周りの大人が気づくケースが多いのですね。
-
いえ、大人も意外と「何かおかしいようだ」とは気がつかないものです。実際には、歩行の遅れや転びやすいなど、別のきっかけで受診されることが多いですね。
-
そんなときはどちらの科を受診するのがよいのでしょうか。
-
小児科や整形外科が一般的です。
-
子どものめまいは、何が原因で起こるのでしょうか?貧血でしょうか?
-
子どものめまいの原因は2種類に大別できます。1つは、知覚の異常によるもので、これは本人の訴えによって発覚します。
-
今回はこのパターンですね。
-
おそらくそうでしょう。もう1つは、平衡感覚を失ったことによるバランスの異常です。
-
先ほどのお話にもありましたが、あまり小さい子は、めまいを感じたとしてもそれを大人に伝えることはできないんですよね。
-
そのとおり。めまい感を訴えることができるようになるのは、およそ3歳ころからでしょう。「目が回った」「地震だ」などと言うことが多いようです。
-
3歳までの場合、大人はどのように気づくのでしょうか。
-
歩くのが遅かったり、転びやすかったりすることから「何かおかしい」と気づくことが多いようですね。
-
診察では、どのようなことをお話しするのですか。
-
発症までの経過をうかがったり、平衡機能の異常がないかを確かめたりします。ただし乳幼児の場合、単に運動発達がゆるやかな子もいます。そのあたりは見きわめが必要ですね。
-
そうなんですね。
-
またお子さんの年齢によって、ある程度はめまいの種類を絞り込むことができます。年齢は、新生児期(0歳~生後1カ月)、乳児期(新生児期~1歳)、幼児期(1歳~5、6歳)、学童期(6歳~12歳)に分けられます。
-
うちは3歳なので、幼児期ですね。
-
どんな症状ですか。
-
数秒から数分間、「ぐるぐる回るような感じ」と本人は言います。でもすぐにおさまるようで、その後はけろっとしています。今までは、「ただ体調が悪いのだろう」と判断して、症状が出た日はおとなしくさせているだけだったのですが。
-
診断にはしっかり検査を行う必要がありますが、あなたのお子さんは時期と症状から判断しておそらく「小児良性発作性めまい」の可能性があります。1歳から4歳で発症し、数秒から数分間、ぐるぐるするようなめまいが続くものです。また、すぐに症状がおさまる点も合致しています。
-
どんな治療法が考えられるでしょうか。
-
経過観察で自然におさまっていくことが多いですよ。
-
安心しました。ありがとうございます。子どもの年齢によって、おおよその症状が絞り込めるのですね。
-
小児科では、発症時期により発症しやすいめまい・平衡障害の原因疾患は、次のように分類されています。
新生児期なら出生外傷、内耳・小脳などの先天奇形、遺伝子異常。
乳児期なら運動・発達障害。
幼児期なら小児良性発作性めまいのほか、頭部外傷や脳腫瘍、急性小脳失調症、発作性頭位めまい、小児良性発作性斜頸。
学童期であれば、起立性調節障害、頭部外傷、動揺病、側弯症、顎関節症、早発脊髄小脳変性症、頭痛、心因性などが考えられます。
例外はありますが、概ねこのようになっています。
-
医師にかかって、子どもの年齢と症状を話せば、だいたいの病名がわかるということですね。
-
おっしゃるとおりです。
まとめ
・子どものめまいの原因は、知覚の異常と平衡感覚を失ったことによるバランスの異常に分けられる
・子どもの年齢によって、めまいの種類を絞り込むことができる
・1歳から4歳の子がぐるぐるするようなめまいが生じる場合は小児良性発作性めまいの可能性がある