耳鳴りの原因
耳鳴りは、基本的には病名ではなく症状名です。耳鳴りの原因となる病気や不調はたくさんあります。心配事があって不安なときや、うつ状態のときに心因性の耳鳴りが起こることもあるのです。
耳鳴りだけの場合は、音に対して過敏になる聴覚過敏と、難聴の2つが主な原因となります。そのうち聴覚過敏による耳鳴りには、片頭痛が関係している場合が多いです。
年配の方になると、脳血管や内耳の加齢による機能低下が原因となるケースが目立ちます。ですから、年配の患者さんは脳梗塞などの血管トラブルに注意し、年齢を考慮しながら診る必要があるのです。
例えば、お年寄りの耳鳴りは、加齢による難聴が原因となっているケースが多いといえます。
耳鳴りが起こるメカニズム

音を感じる感覚を「聴覚」といいます。耳鳴りの発生するメカニズムを理解するために、まずは音を感じるしくみ=聴覚系のしくみを知ることが必要でしょう。
右図は耳の構造を描いた図です。
聴覚系は、私たちが普通「耳」と呼んでいる耳介(耳たぶ)から始まり、聴神経を通じて、大脳の聴覚皮質(脳の音を感じる部分)までつながっています。
その聴覚系の感覚器官を耳といい、外耳、中耳、内耳という3つの部分に大きく分かれています。
耳介で集めた音波が、外耳道(耳の穴)を反響しながら入っていき、鼓膜を振動させます。そして、鼓膜の奥にある中耳から、内耳へ音の振動が伝わるのです。中耳のさらに奥にある内耳には、蝸牛(かぎゅう)、三半規管、前庭という器官があります。聴覚系での内耳の役割は、音の振動を電気信号に変えて神経に伝えることです。
これが「音」が聞こえるまでの流れです。
耳の構造から見た耳鳴りの原因

内耳には、音を感じる蝸牛と、回転運動をとらえる三半規管、直線的な動きや重力をとらえる前庭(耳石器)があります
つまり、耳という器官には、音を聞く働きのほかに、体の動きを感じてバランスを取る働きもあるわけです。
これらの感覚に異常があると、音の感じ方に狂いが生じます。これが耳鳴りです。
蝸牛になんらかのトラブルが生じると、音の信号伝達に支障が生じることになります。
また、蝸牛のどこかで有毛細胞の調子が悪くなると、特定の周波数帯の音が聞こえにくくなります。それらが、耳鳴りの原因となります。