生活習慣によってめまいや耳鳴りを予防・改善できる!
実は、軽度のめまいは生活習慣によってある程度予防・改善することができます。
今回の記事では、めまいを予防・改善する生活習慣をご紹介します。
目次
めまいや耳鳴りを改善、予防する生活上のポイント
以下でお勧めする内容は、基本的に、めまい・耳鳴り、または頭痛にも共通しています。
どれか一部にだけ当てはまる場合は、そのように明記することにいたします。
「規則正しい生活」で神経バランスを整える
めまいや耳鳴りの発症には、多くの場合、自律神経の乱れや、それに伴う免疫力の低下が関わっています。自律神経は、血流のコントロールをはじめとして、全身の機能のバランスを保っているからです。自律神経のバランスが崩れると、めまい・耳鳴りに加え、頭痛も起こりやすくなります。
自律神経のバランスの基本は、日中の活動時間帯に緊張度を高める交感神経が優位になり、夜間に緊張を緩める副交感神経が優位になることです。
規則正しい生活は、この神経リズムを保つうえで大切なのです。そのためには、起床と就寝の時間、食事を取る時間など、基本的な生活時間をなるべく一定にするよう意識しましょう。
食事には、栄養の摂取だけでなく、副交感神経を刺激して体にリラックスタイムを与える作用もあります。食事を抜くと、それだけ体の緊張が続くことになり、自律神経の微妙なバランスに影響します。
睡眠不足を「寝だめ」で解消するのはNG
睡眠は、不足しても取りすぎても、生活のリズムを崩して自律神経のバランスを乱してしまいます。
ウィークデーの睡眠不足を週末の寝だめで補うことも、その意味では避けたい生活パターンです。
疲れやストレスをためてしまうことによる睡眠不足も、当然、自律神経のバランスを乱す要因です。
自律神経の乱れは、フワフワする浮動性めまいや耳鳴りの誘因になります。
人により仕事上の都合もあると思いますが、睡眠はできるだけ夜間にしっかりと取るようにしましょう。寝つきの悪い人は、静かな音楽を聴いてリラックスすると、睡眠の質がよくなります。
耳鳴りが気になって寝つけない人は、かかりつけのお医者さんに相談してみてください。
より詳しい生活上のアドバイスが得られるほか、原因や症状の重さによっては睡眠導入剤などを処方してもらえます。
過労やストレスの蓄積を解消する
睡眠不足ともからんできますが、過労やストレスの蓄積も、やはり自律神経を乱す原因になります。
ただし、体や心が活発に活動するには、適度な緊張やストレスが必要です。ですから、ストレスを完全に避けることは不可能ですし、ストレスをいやがる態度も現実的ではありません。
仕事などをしている生活時間帯は緊張感を持って活動的に過ごし、オフタイムはしっかりくつろいで休息するというのが、自律神経にとっても望ましいリズムになります。
疲れやストレスは日々たまるものと考えて、うまく解消する方法を工夫しましょう。
例えば、一日のしめくくりに腹式呼吸を取り入れた瞑想や軽いストレッチをすると、体の緊張をほぐす効果があるでしょう。ほかにも、適度な運動や、読書などの趣味を楽しむ時間を持つようにするとよいのではないでしょうか。
そのうえで、規則正しく入浴、睡眠を楽しめば、ストレスは自然と解消します。
耳鳴りの起こりやすい人は、静かな場所などにいると耳鳴りが気になることも多いかもしれません。リラックスするには、ヘッドホンで静かな音楽を聴いたりするのがお勧めです。
頭痛の原因となる「眼精疲労」を避ける
めまいは耳のトラブルで起こることが多いのですが、眼精疲労によって起こるめまいもあります。また、片頭痛の引き金として「目の疲れ」を挙げる人も少なくありません。
特に、仕事でパソコンを使うデスクワークが多い方には、眼精疲労が起こりやすいので、できるだけ目を休めるように気を配りましょう。スマートフォンなどの画面の見すぎにも注意してください。
また、目の疲れを感じたとき、おしぼりなどを当てると気持ちよいものですが、眼精疲労を取りたいなら、冷たいおしぼりを使うのではなく、蒸しタオルで目のまわりを温めて血流をよくするのが正解です。
「適度な運動」で内耳の血流を改善
血流の改善は、耳などに原因のあるめまいや、耳鳴りの予防にも有効です。その意味でも、適度に体を動かすことはお勧めしたい習慣です。
軽いエクササイズやウォーキングで全身の血行をよくすると、内耳の血流もよくなり、めまい・耳鳴りの改善、予防効果が期待できます。
少しぬるめのお風呂でリラックス
一日の終わりに、少しだけぬるめのお湯でゆったり入浴すると、心身がリラックスしてストレス解消になり、寝つきもよくなります。熱すぎるお湯は体を緊張させてしまいますから、うまく調節してください。
一過性の軽いめまいや耳鳴りは、疲労やストレスなどの影響でしばしば見られるものです。しかし、生活に支障をきたすようなめまいや耳鳴りが起こったとき、または発作をくり返している人は、原因となる耳などの病気が疑われますから、ぜひ耳鼻科などを受診してください。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。