院長の耳鳴り外来はしばらくの間、休止とさせていただきます。大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒、よろしくお願い申し上げます。
耳鼻咽喉科 渡辺医院

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2018年8月8日

【前編】知っておきたい耳鳴りの6つの治療法

耳鳴りの治療法を具体的に6つ、説明していきましょう。

心身のつらい症状を軽減する薬物療法

まず、薬物療法です。

当然ですが、メニエール病や中耳炎など、はっきりした原因疾患があれば、その病気に応じた薬を処方します。

しかし、原因不明の場合でも、薬がたいせつな役目を果たすことは少なくありません。
耳鳴りそのものを止める薬はありませんが、患者さんが苦痛に感じている症状を緩和すれば、耳鳴りそのものが軽減することもあります。

ですから、耳鳴りに処方される薬は、かなり多岐にわたるのです。

不眠を訴える患者さんには睡眠薬などが有効ですが、それは、バランスの乱れた自律神経や、過敏になった脳神経(大脳辺縁系など)の働きを整えてくれるからでもあります。

耳鳴りの患者さんによく処方される薬を左に挙げてみました。

内耳の代謝をよくするために利尿剤、神経の作用を助けるビタミンB12製剤、頭痛予防のカルシウム拮抗剤、緊張を和らげる抗不安薬などが、よく処方されています。
私は、患者さんの状態に応じた漢方薬なども多く活用しています。

耳鳴りを気にならなくする音響療法

難聴の説明で少し触れましたが、耳鳴りは、ほかの音に紛れると目立たず、気にならなくなる傾向があります。

それを応用した耳鳴りの治療法が「音響療法」です。消えない耳鳴りの本格的な治療としては、外すことのできない重要なものです。

音響療法は、あえて音のある環境を作って、相対的に耳鳴りの感じ方を軽くし、その状態に慣れていく治療法です。

たとえば、患者さんが感じている耳鳴りのレベルが「10」だとしましょう。
そこへ、別の「8~9」レベルの音を流してやると、「10」ある耳鳴りの音を「1~2」程度にしか感じなくなるという理屈です。

昔からさまざまな音響療法が試みられてきましたが、現在では、耳にレシーバー状の器具をかけて、患者さんにだけ聞こえる音を流す方法が定着しています。
耳鳴りがわずかに聞こえるぐらいの音を流し、その中で耳鳴りに慣れていくのです。

以前は「マスカー」という器具を使うマスカー療法がありましたが、現在は、特殊な補聴器(サウンドジェネレーター)を使うTRT療法が主流になっています。

カウンセリングと補聴器による「TRT療法」

もうおわかりかと思いますが、TRT療法は消失しない耳鳴りに「慣れる」ことを主眼とする治療法です。

この治療法の理論的根拠とされるのは、(原因不明とされる)耳鳴りの主な原因は過敏になった脳にある、と説明する「神経生理学的耳鳴りモデル」です。
そして、このモデルを提唱したジャストレボフ博士たちが、1990年代に英米でTRT療法を開始しました。

TRT療法の柱は、カウンセリングと、補聴器(サウンドジェネレーター)による音響療法です。

カウンセリングを通じて、患者さんに耳鳴りを正しく理解してもらい、音響療法の意味や目的を理解してもらいます。
もちろん、医師との対話を通して不安を軽くする意味もあります。
そして、患者さんごとにフィッティングした補聴器を使って音響療法を続け、耳鳴りを意識しなくなるように訓練していきます。
簡単に言えば、BGMを聞き流しながら生活するようなイメージです。

 

後編では、残りの3つの治療法をご紹介します。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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