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「消える」耳鳴りと「治る」耳鳴り、どう違う? | 耳鼻咽喉科 渡辺医院
院長の耳鳴り外来はしばらくの間、休止とさせていただきます。大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒、よろしくお願い申し上げます。
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2018年6月6日

「消える」耳鳴りと「治る」耳鳴り、どう違う?

耳鳴りそのものは、健康な人にもよく起こるありふれた症状です。
耳鳴りを経験したことのある人は、全人口の10~20%とも言われます。
さらに65歳以上の人になると、30%近くの人が耳鳴り経験者だという報告もあります。

そんな中、 よく「耳鳴りは完全には治らない」という人がいます。
一方で、「耳鳴りが治った」と経験を語る人もいます。

どちらが本当なのでしょうか?

「消える」耳鳴りと「治る」耳鳴りの違いは原因にある

耳鳴りには、病気の治療とともに消失するものと、消失はしないけれども気にならなくなるものがあるゆえ、厳密に言うと、どちらも一面では正解。
間違いではありません。

両者の違いは、主に原因がどこにあるかによるものです。

音の「振動」を伝える伝音系の器官(外耳や中耳)に原因がある耳鳴りは、消える場合が多いものです。
外リンパ瘻(ろう)、滲出(しんしゅつ)性中耳炎、耳管狭窄(じかんきょうさく)症などのような病気に伴う耳鳴りは、病気が治れば消失します。

他方、音の振動を「電気信号」に変えて伝える感音系(内耳から脳神経にかけて)に原因がある耳鳴りは、消えにくい傾向があります。

原因不明の耳鳴りや、加齢に伴う難聴からくる耳鳴りなどには、消えるということはあまり期待できません。
しかし、その状態に慣れて気にならなくなれば、ご本人は「治った」と実感されるわけです。

消える耳鳴りは「伝音系」の障害によるもの

伝音系、感音系という言葉が出てきたところで、もう一度、聴覚系の構造を押さえておきましょう。
このコラム(【前編】耳のしくみとそれぞれの異常に伴う耳鳴り・難聴)では、耳鳴りの原因を「耳」の病気と「脳」の病気に分けました。
これをより正確に言うと、聴覚機能の低下には「伝音系」の障害と、「感音系」の障害があるわけです。

伝音系は、音を集める耳介に始まり、外耳道を通って鼓膜の内側にある中耳に至ります。
中耳には鼓室、耳小骨があって、さらに奥にある内耳へ音の「振動」を伝える役割をしています。
また、中耳にある耳管という器官は、鼓膜の内側の気圧を調節している空気の通り道です。

ここにトラブルが起こって音の「振動」が伝わりにくくなると、耳鳴りをはじめとする聞こえ方の異常につながることがあるわけです。
具体的には、外耳道に耳あかが詰まる耳垢栓塞や、中耳炎などです。

これが、治療とともに消える耳鳴り、すなわち完治する耳鳴りの正体です。

一方、音の振動を「電気信号」に変えて伝えるのが、内耳より先の「感音系」です。
こちらのトラブル(難聴など)は治療が難しいことが多く、完治しにくいのです。

「感音系」の障害は耳鳴りそのものを治す必要がある

聴覚器官のうち、音の振動を電気信号に変えている場所は蝸牛(かぎゅう)です。

耳小骨から音の振動を受け取ると、蝸牛の中の「蝸牛管」を満たしているリンパ液が振動します。

そして、蝸牛管の壁にある「コルチ器」の中の感覚細胞(有毛細胞)が、その刺激を感じて電気信号に変換するのです。

感音系のトラブルとして、まず考えられるのは、なんらかの原因でこの「有毛細胞」の働きが悪くなることです。
加齢による機能低下のほか、騒音のダメージを受けた場合などにありがちなトラブルです。

この有毛細胞は、蝸牛管のどこにあるかによって、感じる音の高さ(周波数)が違います。
渦巻きの中心にある細胞は200ヘルツ(Hz)の低音を、外側に行くにつれて1000、2000、3000ヘルツ……と高音を感じるイメージです。

そのどこかで有毛細胞の機能が低下すると、一部の周波数の音が聞こえにくくなって耳鳴りを生じやすくなるわけです。

また、感音系の耳鳴りは、蝸牛で生じた電気信号を伝える「聴神経」や、信号を受け取る脳の「聴覚中枢」の機能が低下しても起こります。

耳鳴りのかげには難聴が隠れていることが多い

有毛細胞の機能低下は、難聴の原因として最もありふれたものです。
そして、難聴は、耳鳴りを伴うケースがほとんどです。

高齢の方に起こる耳鳴りは、大半が「老人性難聴」によるものだと言えます。

ただし、難聴が進み始めたばかりの段階では、それほど耳の聞こえにくさを感じないものです。
むしろ「耳鳴りが気になって耳鼻科に行ったら、難聴がわかった」というケースが多くなります。

その意味では、「耳鳴りは難聴の兆候」と考えてもよいでしょう。
特に、50歳代以降で、高音の耳鳴りが気になり始めたという方には、早めに耳鼻科で診察を受けることをお勧めします。

難聴が耳鳴りを伴う理由は、外部の音が聞こえにくいことにあります。
静かな場所で「シーン」という音を意識することがあるように、外部の音が聞こえにくいと、それまでは気になっていなかった耳鳴りの音に、強く意識が向いてしまうわけです。

難聴治療の鍵となる「補聴器」

このような耳鳴りは、たいてい補聴器をすると治まります。
補聴器をつけると聞き取れる音が増えますから、自然とさまざまな音が聞こえ、耳鳴りの音が目立たなくなります。
場合によっては、補聴器とサウンドジェネレーターの機能をあわせもつ「コンビ補聴器」を試してみるのもいいでしょう。
今まで聞こえなかった音を拾う補聴器機能と、別の音を聞かせるサウンドジェネレーターの両方がはたらくことで、いっそうの効果が期待できます。
これらは、 音が消えるわけではなく、ほかの音に紛れて気にならなくさせるための治療法となります。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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