耳鳴りの症状を医師に伝えるときに役立つポイント
耳鳴りは自分の症状を伝えるのが非常に難しい症状です。
熱がある、咳が出る、お腹が痛いといった症状であれば、自分の症状を容易に伝えることができます。
しかし、耳鳴りにおいてはそう簡単にいきません。「自分以外の人には聞こえていない」という耳鳴りの特性上、仕方がないことなのですが、自分の症状が医師にうまく伝えられないことで、ストレスを抱えている方は多いのではないでしょうか。
本コラムでは、耳鳴りの症状をうまく医師に伝えるポイントをご紹介します。
目次
どんな音が聞こえているのか
耳鳴りの音は擬音で表現されることが多く、その種類は患者さんの数だけあるといっても過言ではありません。
下記はあくまで例ですが、ご自身の耳鳴りに当てはまる音はあるでしょうか。
・ジー
・ブーン
・ゴー
・カチカチ
・ポー
・シュー
・リーン
・ドキドキ
・ヒュー
・ピー
・ガーン
・キーン
・ボー
・プー
・シーン
これに加え、耳鳴りの音が高音なのか、低音なのか伝えるようにしてください。
例えば、「キーンという高い音」「ゴーという低い音」といったことを伝えるだけでも、医師にとっては診断・治療をするうえでの大きなヒントになります。
耳鳴りの音はどの程度の大きさに聞こえているのか
音の大きさはdb(デシベル)という単位で表されますが、「自分の耳鳴りは80dbである」と正確にわかる方は、ほとんどいないでしょう。
どれくらいの大きさで聞こえているかは、以下の項目を参考に伝えてみてください。
・自動車のクラクション
・鉄道のガード下(電車通過時)
・カラオケの室内
・電車の車内
・セミの鳴き声
・掃除機の音
・エアコンの室外機
・呼吸音
聞こえている音は1種類だけか、複数か
耳鳴りには聞こえる音が1種類の「短音性耳鳴り」と、いくつかの音が混ざり合って聞こえる「雑音性耳鳴り」があります。
一般的に、雑音性耳鳴りは短音性のものよりも複雑な原因が絡んでいる可能性があるので、注意が必要です。
これも忘れずに医師に伝えるようにしましょう。
どんなとき、何をしているときに耳鳴りが聞こえるのか
1日中、耳鳴りが鳴り止まないという方もいらっしゃいますが、耳鳴りは、ある出来事をきっかけに音が聞こえ始めたり、悪化したりということがよくあります。
・疲れがたまっているとき
・何かに興奮したとき
・大きな音を聞いたとき
・ストレスを感じたとき
・飲酒をしたとき
・生理のとき
・薬を飲んだとき
上記は耳鳴りのきっかけとして、患者さんからよく聞くものです。
もちろん、これ以外にも、何かきっかけになることがあれば、医師に伝えるようにしてください。
耳鳴りはどこで聞こえているのか
耳鳴りがどこで聞こえているのかいうことも、診断には重要な要素の一つです。
左右どちらか片方なのか、両方なのか、耳ではなく頭の中で響いているように感じるのか、それとも後頭部の方から聞こえるのか、耳鳴りの聞こえる場所は人それぞれなので、正確に伝えるようにしましょう。
耳鳴りは生活にどのような影響を及ぼしているか
耳鳴りの音とは関係がありませんが、耳鳴りがすることによって、日常生活にどの程度の影響があるのかも重要なポイントです。
耳鳴りが少し気になる程度の方と、耳鳴りが気になって満足に睡眠がとれない・仕事に集中できないという方では、治療法が異なります。
また、自分では気付かないこともありますので、家族や友人、同僚など、身近な人にも聞いてみましょう。
以上のようなことを意識すると、かなり症状を細かく伝えることができます。
診断もスムーズに進み、速やかに治療へと進むことができるでしょう。
また、耳鳴りと関係のなさそうな症状であっても、医師には必ず伝えてください。
それが診断の材料になり、処方する薬などに影響することもあるからです。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。