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耳鼻咽喉科 渡辺医院

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トップ(耳鳴り) > 耳鳴りコラム一覧 > 【耳鳴りを引き起こす病③】外リンパ瘻 
2018年8月29日

【耳鳴りを引き起こす病③】外リンパ瘻 

外リンパ瘻(がいりんぱろう)という病気を知っているでしょうか。
あまり耳慣れない病名で、身体のどの部位の病気かもなかなか想像できないのではないでしょうか。

外リンパ瘻は、耳の病気です。
外リンパ瘻によって、耳鳴りや難聴、めまいといった症状が引き起こされることがあります。

今回は、外リンパ瘻の基礎知識や原因、症状などをご紹介します。

外リンパ瘻とは

外リンパ瘻を説明する前に、耳の仕組みをご紹介しましょう。
耳には、外耳、中耳、内耳と、大きく分けて3つの部位があります。

外耳、中耳、内耳のうち、内耳には、外リンパと内リンパの二重構造でリンパ液が流れています。
外から入ってきた音の振動を受けとめると、このリンパ液に波ができます。

音が入ってきたときだけでなく、身体が動いたときにも、リンパ液に揺れが生じます。
リンパ液に波ができたり、揺れが生じたりすることによって、音を音だと認識したり、身体のバランスを維持したりする仕組みになっています。

外リンパ瘻とは、この中の内耳に穴があき、内耳を満たしているリンパ液が中耳へと漏れてしまう病気です。
内耳に圧がかかったり、けがをしたりすることによって起こることが多いと言われる病気で、リンパ液が漏れ出すことによって内耳がうまく機能しなくなり、さまざまな症状が引き起こされます。

後述しますが、外リンパ瘻には多様な症状があります。
症状に個人差が大きいこともあり、すぐに外リンパ瘻が疑われるケースは決して多くありません。
リンパ液の漏れが少量であることもあります。
そうした理由もあり、外リンパ瘻は、診断の難しい病気だといわれることがあります。

外リンパ瘻の症状

外リンパ瘻は、内耳に穴があき、内耳を満たしている外リンパ液が中耳に漏れ出してしまう病気です。

その結果としてあらわれる症状として、難聴があります。
音を音だと認識するリンパ液の障害ですから、聞こえが悪くなり、音が聞き取りにくくなってしまいます。
難聴にもさまざまなケースがあり、だんだん聞こえづらくなっていくケースや、聞こえたり聞こえなかったりするようなケースもあります。

難聴とは少し異なりますが、音の聞こえに関して、水が流れているような音が常に聞こえるという症状もよく見られます。

その他にも、身体のバランス感覚を保っているリンパ液の障害なので、耳鳴りがしたり、ふらついたり、エレベーターに乗っているときのように耳が詰まるような感じがしたり、気分が悪くなったりすることもあります。
ひどい場合には、振り向いたり、下を向いたりと、頭を動かしただけで気分が悪くなることもあります。

こうした症状は、常にあらわれるものではありません。
また、良くなったり悪くなったりを繰り返すのも特徴です。
そのため、病気に気付きにくいことがあります。
疲労やストレス、自律神経障害、更年期障害などと混同されたり、「年齢のせい」と思い込んで放置されてしまったりするのです。

外リンパ瘻の原因

外リンパ瘻の原因は、大きく分けて3つあります。

⑴耳の病気やけがが原因となる外リンパ瘻

耳の病気やけがが原因になります。
耳かきをするときに耳を傷つけてしまうことが原因になる場合もあります。
骨折なども原因になります。

⑵外から圧がかかることが原因の外リンパ瘻

交通事故によって衝撃を受ける、水中ダイビングをする、飛行機の離発着、スポーツをする、頭を強く打つ、ジェットコースターに乗る、プールでの飛び込みなどが原因になることがあります。

⑶体内から圧がかかることが原因の外リンパ瘻

くしゃみや咳、強く鼻をかむこと、力むこと、トランペットなどの楽器の演奏、重い荷物を持ち上げたり運搬したりすることが原因になることがあります。

 

以上のように、意外と、普段の生活でとる行動によって引き起こされることが多い病気なのです。
耳の病気やけが、外からの圧、体内からの圧が主な原因になると覚えておいていただければと思います。

外リンパ瘻の治療

外リンパ瘻の治療には、手術と、薬を使うものの2種類が一般的です。

まず、薬を使った治療法が試されるケースが多いです。
手術を選択するのは、薬によって症状が悪化してしまったり、快方に向かう気配が見られなかったりする場合です。

手術では、まず中耳と内耳の間をよく観察し、穴の有無やリンパ液の漏れの有無を調べます。
リンパ液が漏れていれば、その穴を閉じる手術がほどこされます。

薬を使った治療法は、保存的治療法と呼ばれます。
これは、内耳の穴が自然とふさがる可能性がある際にほどこされる治療法と考えればよいでしょう。
リンパ液が流れないような姿勢を取り、安静にして、ステロイド薬を使って治療します。

先述したように、外リンパ瘻は、日常生活のふとした行動によって起こることが多い病気です。
まずはそうした行動を避けるように心がけて生活してください。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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