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耳鼻咽喉科 渡辺医院

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2018年8月1日

【耳鳴りを引き起こす病①】ラムゼイ・ハント症候群

ラムゼイ・ハント症候群という病気をご存知でしょうか。
実はこのラムゼイ・ハント症候群は、耳鳴りを引き起こすことがある病気でもあるのです。

今回は、ハント症候群についてご紹介します。

ラムゼイ・ハント症候群(耳性帯状疱疹)とは

ラムゼイ・ハント症候群は、ハント症候群ともいいます。
耳性帯状疱疹(じせいたいじょうほうしん)という呼び方をされることもあります。

帯状疱疹という耳慣れない言葉の意味を解説しましょう。
帯状疱疹とは、身体の左右どちらかに、ピリピリした痛みと赤い斑点、小さな水ぶくれが帯のようなかたちであらわれる病気のことです。

これは、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって起こります。
最初に水痘帯状疱疹ウイルスに感染すると、水痘(水ぼうそう)にかかります。
水痘が治った後も、水痘帯状疱疹ウイルスはしばらくの間、神経に潜んでいます。
その後しばらくすると、潜んでいたウイルスが活性化して感染が再発し、帯状疱疹が発生するのです。

顔面神経麻痺に加えて、耳のあたりの水ぶくれや耳鳴り、難聴、めまいといった症状があらわれることがあります。
顔面の麻痺の症状としては、まぶたが閉じられなくなったり、眉があがらなくなったり、口から水が漏れたりするなどといった症状があります。

ラムゼイ・ハント症候群を引き起こす原因は?

ラムゼイ・ハント症候群の主な原因は、次のとおりです。
・疲労
・身体的ストレス
・免疫力低下
・日射病
・糖尿病の悪化

どんな症状があらわれるの?

ラムゼイ・ハント症候群の症状としては、次のようなものが挙げられます。

【顔面神経麻痺に関する症状】
・顔がこわばる
・笑顔を作ろうとすると、顔の片側だけ笑顔になる
・目を開けたり閉じたりできない
・眉があがらない
・口から水や唾液が出てしまう
・味覚障害

【帯状疱疹に関する症状】
・耳のまわりと耳の内部の痛み
・耳のまわりに水ぶくれやかさぶたができる

【聴神経に関する症状】
・耳鳴り
・めまい
・難聴
・ふらつき
・頭痛

ラムゼイ・ハント症候群は、前述のとおり、帯状疱疹ウイルスに感染することでかかる病気です。
帯状疱疹ウイルスが内耳や顔面神経に感染することで、まず頭痛や耳の痛みといった症状があらわれます。
次にあらわれるのが、耳の穴のあたりにできる、小さな赤い発疹や水疱です。
これは痛みを伴うものです。

次に、耳鳴りや難聴、回転性のめまいが起こり、顔面神経麻痺があらわれます。
回転性のめまいとは、自分自身か周囲のもの、もしくはそのいずれもが動いているように見えるめまいです。
吐き気を催したり、バランスが取りにくく、歩くのが難しくなったりするものです。

検査・診断はどうやって行われる?

医療機関で受けられるラムゼイ・ハント症候群の検査には、聴力検査、視診、平衡機能検査、画像診断、血液検査の5つの種類があります。

聴力検査

聴力検査によって、耳の聞こえをチェックします。

視診

顔面神経の症状はどうか、耳のまわりの水ぶくれやかさぶたの症状はどうか、目で確認する検査です。

平衡機能検査

めまいの原因や程度を調べる検査です。
靴を脱いで、前足のかかとと後ろ足のつま先を合わせます。
その状態で、目を開けているときと閉じているとき、それぞれの身体の動きを観察することで調べます。

画像診断

MRI検査によって、顔面神経の造影効果があるかどうかを検査します。

血液検査

ラムゼイ・ハント症候群には、帯状疱疹があらわれないケースもあります。
そのケースでは、ベル麻痺という、顔面神経が麻痺する病気と区別するため、血液検査によってウイルスの状態をチェックします。

ラムゼイ・ハント症候群の治療法

ラムゼイ・ハント症候群は、後遺症の残りやすい病気です。
感染していることがわかったら、すぐに治療をおこなうことが重要です。

ラムゼイ・ハント症候群の主な治療法は、以下のとおりです。

感染症に対する治療

抗ヘルペスウイルス薬を使うことでウイルスの増殖を抑える効果が、ステロイド薬を使うことで神経の炎症を抑えたりむくみを解消したりするといった効果が見込まれます。

痛みに対する治療

神経痛に対する鎮痛効果があるカルバマゼピンや、神経に働きかけて鎮痛するノルトリプチリン、ガバペンチンなどを使うことがあります。

ラムゼイ・ハント症候群を予防するにはどうすればいい?

ラムゼイ・ハント症候群は、水痘にかかることがきっかけとなる病気です。
ですから、何よりも水痘にかからないように予防することが重要となります。
子どものときに、水痘ワクチンを接種しておくことをおすすめします。

ラムゼイ・ハント症候群の症状には、目で見てわかるものが多いので、ご自身で不審に気付くことができます。
ラムゼイ・ハント症候群が疑われるとき、受診するのは耳鼻咽喉科や感染症内科です。
先述のとおり、早めに受診するようにしてください。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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