片頭痛を招く食品と頭痛を軽くするコツ
片頭痛とめまいの関連は、すでにご理解いただけたことと思います。
「女性に多い片頭痛と、めまい・耳鳴りの関係とは」の記事でご紹介したとおり、めまい・耳鳴りで当院にいらっしゃる女性の患者さんは、驚くほど高い割合で慢性頭痛に悩まされているか、慢性頭痛の経験者です。その割合はほぼ7割にのぼり、ほとんどが片頭痛だということでしたね。
では、片頭痛はどのように起こり、どうすれば軽減できるのでしょうか。
実は片頭痛は、食品と関連が深いことがわかっています。
今回の記事では、片頭痛の人が避けたい食品と、頭痛の予兆を感じたときや頭痛が起こったときにぜひ試してみていただきたい、症状を軽減するコツをご紹介します。
片頭痛の人が避けたい食品
片頭痛は、脳の血管が拡張して炎症を起こす発作ですが、その際、血管は激しく収縮と拡張をくり返します。
そこで、血管を拡張させる成分も収縮させる成分も片頭痛の発作を招く誘因になるといわれています。
以下に挙げる片頭痛誘発物質は、総じて、日本人の食生活が欧米化、インスタント化してから口にするようになったものが多いことに気づきます。
その点から、現代人の頭痛発作を減らすには「和食」がよいのではないかと、私は強く感じています。
実は、片頭痛の人に聞いても、「自分は何を食べたときに発作が起こる」と自覚している人は案外少ないようです。
個人差もあると思いますので、今後、意識しておくと役に立つのではないでしょうか。
血管を拡張させる食品
まず、血管を拡張させる食品です。
● アルコール飲料……アルコールに血管を拡張する作用があります。種類でいうと、特に赤ワインは頭痛と関連が強そうです。保存料として使われている成分の影響が考えられます。
● 加工肉食品……ソーセージやベーコンなどですが、やはり保存料として使われている成分が関係していると思われます。
● 人工甘味料……ローカロリーの甘味料として、さまざまな嗜好品に使われているアスパルテームなどが、片頭痛の人にはよくないようです。
血管を収縮させる食品
次に、血管を収縮させる食品です。
● チョコレート、ココア……神経を刺激するチラミンという成分が含まれていて、それが片頭痛を誘発する物質としてよく知られています。
● チーズ、柑橘類……これらにも、チョコレートやココアと同様、チラミンが含まれています。
● インスタントラーメン、スナック菓子……うまみ調味料の成分グルタミン酸ナトリウムで頭痛を起こす人が多くいます。グルタミン酸ナトリウムは中華料理に多く使われることから、「チャイニーズレストラン・シンドローム」という言葉があります。
片頭痛の発作が起こりそうだと感じたら
予防に気をつけていても、発作が起こってしまうことはあるでしょう。
片頭痛は、めまい・耳鳴り関連症状の中でも特殊なものなので、発作の前兆を感じたときに試していただきたい、発作をなるべく軽くするためのポイントも挙げておきましょう。
片頭痛の人は、視覚や聴覚が過敏になっているので、ふだんから発作を誘発する強い光や激しい音はなるべく避けたほうが賢明です。
そして、発作の前兆を感じたら、次のようなことを工夫してください。
● 部屋をなるべく暗くする。
部屋を暗くすることで、強い光を避けます。
● 音のするものを遠ざける。
聴覚が過敏になっているときには、激しい音がするものから距離を取ってください。
● 少量の紅茶など、カフェイン入りの飲み物は取ってもよい。
意外かもしれませんが、少量であれば紅茶などのカフェイン入りの飲み物を取ってもかまいません。リラックスするようにしてください。
● 頭部は温めない。
頭が痛いからといって、温めないようにしてください。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。