耳鳴りと片頭痛の関係性
脳の血管に原因があり、めまいや耳鳴りを伴う病気には、慢性頭痛の一種である片頭痛もあります。
片頭痛は、根本的に治すことをあきらめて、薬で対処している人が多い病気だと思われます。
長年、薬を飲み続けてきた頭痛持ちの患者さんには、痛みがつらいので薬の量が増え、めまいや耳鳴りがひどくなったので耳鼻科にいらっしゃるということがよくあります。
つらい片頭痛の症状
片頭痛は激しい頭痛を特徴とする病気ですが、「前兆」と呼ばれる症状の中で耳鳴りを感じる人もいます。
片頭痛の典型的な症状は以下のようなものです。
・吐き気・嘔吐を伴う
・ズキズキ・ガンガンと拍動するような痛み
・頭痛は頭の右側か左側だけ片側に出る
・頭痛の発作が月に1回から数回繰り返す
人によって症状の出方が少しずつ違います。
一部の人で、頭痛の発作の前に「前兆」と総称される症状が現れます。
片頭痛の前兆も人によって違い、閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる光の点のようなものが見える症状が有名ですが、ほかの視覚の症状が出る人も、耳鳴りのような聴覚の症状が出る人もいます。
片頭痛の原因について、頭の血管の収縮と拡張などによるとする説がありますが、はっきりとはわかっていません。
片頭痛の発作を繰り返している人では、以下のきっかけで痛みが引き起こされることがあります。
・ストレス、ストレスからの解放
・疲労
・睡眠不足、寝すぎ
・食事
・生理(月経)
・低気圧、台風
薬が効かない片頭痛がある場合は専門医に相談を
それだけつらい症状ですが、かつてはしっかり治せる治療法が確立していなかったので、「自分は頭痛持ちだから」と、皆さん我慢してつきあってこられたのです。
当院にめまい・耳鳴りを訴えて来られる患者さんたちも、ご本人は、めまい・耳鳴りと頭痛が結びついているとは思っていない場合が多く、私が問診して初めて「実は片頭痛だった」と知ることになります。
ですが、この片頭痛も、めまいや耳鳴りと密接に関わっている病気なのです。
片頭痛は女性に多く、比較的若い年代の患者さんだと、めまい・耳鳴りの陰に「現役の片頭痛」が隠れています。
そして、ご年配の患者さんだと、「昔、片頭痛に悩まされていて、最近それは治まったけれども、めまい・耳鳴りがする」とおっしゃる方が多いのが特徴です。
片頭痛の発作は、脳の血管が広がって炎症を起こすことで起こると考えられています。
血管が拡張する原因ははっきりしていませんが、片頭痛は圧倒的に女性に多いことから、女性ホルモンの影響があることはほぼ疑いありません。
片頭痛の発作には、前述のように視界にチカチカする光が現れる閃輝暗点のような特徴的な前兆を伴うものがあります。
最近は、その前兆を感じた際に服用し、発作のつらさを和らげる薬が使われるようになりました。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。