外耳炎、内耳炎……子どもの耳鳴りの原因とは?
「耳鳴り=大人の病気」というイメージを抱いていないでしょうか。
しかし実は、子どもでも耳鳴りを発症することがあるのです。

ただ、子どもの場合、難しいのが「症状をうまく説明できない」ということ。
耳鳴りに悩んでいるにもかかわらず、それを大人に説明できないため、ストレスをためてしまったり、なかなか症状が発見されなかったりということになりがちです。
そのため、耳鳴りは大人の病気だと決めつけず、子どもの耳鳴りについて知識を持っておくことが重要といえます。特に、子どもが頭を振ったり、耳をしきりに触ったりしたときは要注意です。
子どもの耳鳴りの原因と対応策についてみていきましょう。
子どもの耳鳴りの原因
子どもの耳鳴りの原因として、以下のようなものがあります。
中耳炎
中耳炎は、小学生の低学年ごろまでの子どもに多い病気です。
風邪が原因で中耳炎を引き起こすケースが多く、風邪のウイルスが耳の中の粘膜に感染し、炎症を起こして発症します。肺炎やインフルエンザから併発することもあります。
中耳炎が疑われる症状としては、下記のようなものがあります。
・39~40度の高熱が続く
・耳を触るしぐさがみられる
・耳だれ(耳から出るうみ)がみられる
・黄色い鼻水が出ている
風邪が原因になることが多い病気であるため、風邪を引かないように注意することが、有効な予防策だといえます。
外耳炎
耳に細菌が入って炎症を起こす病気が外耳炎です。
外耳炎にでは、耳に触れると痛がります。
突発性難聴
中耳炎などが原因で、突発的に難聴になることがあります。
両耳が同時に発症するケースはまれで、多くの場合は片側の耳だけが聞こえにくくなります。子どもが音を聞き取りにくそうにして、音がする方向に片方の耳を近づけている場合、突発性難聴の可能性があると思っていいでしょう。
その場合は、少しでも早く耳鼻科を受診することをおすすめします。
その他の原因
外耳炎や内耳炎、突発性難聴のほか、ストレスや、大きな音を聞き続けたことが原因で耳鳴りを発症することもあります。
子どもが耳鳴りを発症したら
前述したとおり、子どもが頭を振ったり、耳を気にしたりするようなしぐさを見せたら、まず耳鳴りを疑いましょう。特に、外耳炎や内耳炎、突発性難聴にかかった際や、ストレスやプレッシャーの多い状況下に置かれたとき、ライブなどで大きな音を聞き続けた後には、耳鳴りを発症する可能性がありますから、気を付けて見てあげるといいでしょう。
子どもの様子がおかしいと、何が原因なのかわからなかったり、どうしたものかとあたふたしてしまったりすることもあると思います。
ただ、一番つらいのは子ども自身です。
耳や体の状態を丁寧に確認し、じっくりと話を聞いてあげてください。
また、あわてずに医療機関を受診することで、原因もわかりますし、治療も受けられます。大人が取り乱すことなく、専門家に相談してみるのが一番よいといえるでしょう。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。