どんなもの?耳鼻科で受ける耳鳴りの検査
耳の聞こえ方が気になって耳鼻科に行くと、通常、耳の機能を調べるいくつかの検査が行われます。
耳鳴りの原因を特定するためにも、これらの検査は大切です。
原因特定のために行われる検査
耳鼻科で行われる検査には、具体的に以下の2つが挙げられます。
ティンパノメトリー(ティンパノグラム)
鼓膜の動きを調べる検査です。測定用の端末で耳の穴をふさぎ、外耳道の気圧を変化させながら、「ボーッ」という低音を鼓膜に反射させて動きを調べます。どの気圧のときに鼓膜が振動しやすいかで、中耳炎や外耳の詰まりなどがないかどうかわかります。
オーディオグラム(純音聴力検査)
耳にレシーバーを当てて測る気導聴力と、耳の後ろにバイブレーターを当てて測る骨導聴力を調べ、検査の結果を図にします。気導聴力・骨導聴力ともにしっかり聞こえているか、よく聞こえない周波数(Hz:ヘルツ)がないかなどがわかります。気導聴力だけ異常がある場合は外耳から中耳のトラブルが、どちらも同じ程度に悪いなら内耳のトラブルが疑われます。
ほかにも、どんな耳鳴りがしているかを調べる「ピッチマッチ検査」などがあります。ただ、それほど実用性は高くないので、広く行われているわけではありません。
種類や音の大きさだけでは重症度を決められない
耳鳴りには、さまざまな聞こえ方があります。
種類でいえば、「ブーン」という低い音が聞こえる低音性の耳鳴りと、「キーン」といった感じの高い音が聞こえる高音性耳鳴りに大別されます。また、タイプが同じでも、感じる音の大きさは人それぞれ。さらに、聞こえる音が1種類なら単音性耳鳴り、いろいろな音が混じって聞こえるものは雑音性耳鳴りと呼ばれたりします。
ピッチマッチ検査やラウドネスバランス検査は、そうした耳鳴りの種類や、その音の程度を調べる検査です。
ピッチマッチ検査は、患者さんにさまざまな周波数の音を聞いてもらい、感じている耳鳴りの音に近い周波数を特定するもの。ラウドネスバランス検査は、ピッチマッチ検査でわかった周波数で、耳鳴りとして感じている音の大きさを評価します。
先ほども述べたとおり、この検査をしている耳鼻科は多くはありません。耳鳴りは、聞こえる音の種類や大きさだけでは、重症度や原因を決めることができないからです。
ただし、どんな耳鳴りでも放置して悪化させないように、早めに耳鼻科で診てもらいましょう。
ほかの症状でもいえることではありますが、原因が明らかになったことで症状がやわらぐケースはよくあります。
特に、難聴の兆候でもある高音性耳鳴りは要注意です。
「あれっ?」と思ったら、早めの検査を心がけてください。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。