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耳鼻咽喉科 渡辺医院

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2018年9月12日

耳の辛い症状聴覚過敏とはどんなもの?

聴覚過敏とは、音がつんざくように耳に響いたり、耳を覆いたくなるほど大きく響いて聞こえたりする状態です。

感覚過敏のひとつで、耳に聞こえる環境音に対して不快感や苦痛をともないます。
病気ではなくあくまで「状態」を指す聴覚過敏ですが、身体的、精神的な負担が大きく、日常生活に支障をきたすこともあります。

ただし聴覚過敏は、はっきりとした定義があるものではありません。
診断する医師により、そのとらえ方は様々なのです。

聴覚過敏はどんな症状?

前述したとおり、聴覚過敏の定義はあいまいなものです。
ここでは、一般的に表現される聴覚過敏の症状をご紹介します。

・耳をつんざくように音が響く
・耳を覆いたくなるほど、頭の中で音が響く
・耳に音が刺さるような感じ
・脳が震えるように音が響く
・音が響くあまり、耳が痛くなったり、頭痛が起きたりする

一般的には、このような状態を聴覚過敏と呼びます。
ただし症状の程度も様々で、なんとか我慢して日常生活を送れる程度から、横にならないと堪えられない程度の症状まであります。
あまりに症状がひどい場合は、響いている音から離れるなどの対策を取ってください。

不快感を覚える音は色々ありますが、特に不快になりやすいとされる音は以下のとおりです。

・耳鳴り反響系・・・耳鳴りが頭の中に響く。

・人の話し声・・・子どもや女性の高い声、電話の声など。

・騒音・・・ゲームセンターやボーリング場、繁華街、人混み、駅のホームなど、騒がしい音が聞こえる状況で症状が悪化する。

・接触音系・・・物と物とがぶつかる音に反応する。食器と食器がぶつかる音やドアを閉める音など。

・執着系・・・静かなときに聞こえる音が気になってしまう。時計の秒針の音や、キーボードをタイプする、マウスを操作する音など。

特に、低い音よりも高い音に不快感をもよおす方が多いとされています。

聴覚過敏を発生させるメカニズム

次に、聴覚過敏がどのような原因で生じるのかをご紹介します。

・自律神経の乱れ

ストレスがかかると、交感神経が緊張し、副交感神経の働きが低下します。
交感神経が緊張すると、アドレナリンが分泌されます。
アドレナリンが過剰に分泌されると、聴覚過敏にともなう耳鳴りや難聴といった耳の不調や、手足のしびれ、頭痛、肩こりなどの原因となります。

・音を伝えるシステムが正常に機能していない

大きな音が入ってくると、私たちの耳は、鼓膜を緊張させたりして音をそのまま伝えないように働きます。このシステムが正常に機能しないと、音がそのまま入ってきてしまい、音が響いてしまいます。

・音の強弱を調整するシステムが正常に機能していない

鼓膜の奥には、音を電気信号に変換して脳に情報を送る細胞があります。
この細胞を内有毛細胞といいます。
内有毛細胞が正常に機能しないと、音の強弱が調整できず、音が大きく聞こえます。

・音の情報を処理する脳機能がうまく働いていない

人間の脳では、必要な音と不要な音を振り分けて処理しています。
この処理がうまく働いていないと、すべての音が聞こえてしまい、聴覚過敏の症状があらわれます。

聴覚過敏の原因は一つだけではなく、いくつかが組み合わさっていることもあります。

つらい聴覚過敏を軽減させる治療

聴覚過敏の根本的な治療は、いまだ確立されていません。
治療方針は、診断を受けた医師や医療機関によって異なると思っておくとよいでしょう。

精神科・心療内科の治療では、薬を使った治療のほか、カウンセリングなどをすすめられることがあります。
耳鼻科の治療では、症状がでたきっかけや生活習慣について、医師に説明することとなります。
それによって原因が明らかになると、薬を服用したり、生活指導を受けたりします。
睡眠時間や職場の環境、家での過ごし方など生活について医師から訊ねられます。
医療機関によっては、耳鳴り治療であるTRTという治療法を受けられることもあるでしょう。
TRTとは、音を流し続ける器具を装着し、音が聞こえている状態に慣れるという治療法です。

自分でできる2つの対処法

聴覚過敏が疑われる場合には、医師に相談することをおすすめしますが、自分でできる対処法もご紹介しておきましょう。

①環境を変えてリラックスする

生活習慣を変えるなどして、ストレスの根源をやわらげるのがいいでしょう。
あまり思い詰めすぎず、リラックスすることを心がけてください。

②音を遮断する

音を聞こえにくくしてしまうのも一つの手です。
イヤーマフや耳栓を装着して、自分で入ってくる音を調節しましょう。

ストレスを受けている人は、聴覚過敏になりやすいといわれています。
トラブルを抱えている、責任ある立場にいる人などは、あまり抱え込まず、ストレス発散を心がけてください。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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