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耳鼻咽喉科 渡辺医院

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2018年7月11日

難聴によるストレスとうつ状態

「なんて言ったの?」と聞き返したり、「もう一度言って」とお願いしたり――難聴になると、こういった場面が多くなるでしょう。
周囲の人に迷惑をかけているのではないかと悩み、コミュニケーションをとるのが怖いと感じてしまうこともあるでしょう。

人間関係と精神状態は密接に関係しています。
コミュニケーションが円滑に進まなくなった結果、精神状態に悪い影響が及ぶこともあります。
難聴によって人とのコミュニケーションに問題が起こり、うつ状態になってしまう人がいるのはこのためです。

今回は、実は密接な関係がある難聴とうつ状態について解説します。

難聴が招く悪影響

難聴をほったらかしにしておくと、人間関係や精神状態に悪影響をもたらす可能性があります。
なぜなら、聴覚が低下すると、認知機能が低下したり、精神衛生が悪化したりといった結果を招くことがあるからです。

いくつか調査結果をご紹介しましょう。
全米高齢者問題協議会が4000人の難聴患者に対して実施した調査(2000年)によると、難聴を放置し、補聴器をつけていない人たちは、うつ病などの心理社会的疾患を発症する割合が著しく高いことが判明しています。

また、ジョンズ・ホプキンズ大学の調査(2013年)では、難聴が認知機能を低下させることが明らかになっています。
その仕組みを簡単に説明しましょう。

人の話を「聞いている」とき、その音声を処理しているのは脳です。
脳が音声を処理することによって、人は、誰が何を話しているのかといったことを理解しているのです。
難聴の人は、音声が十分に聞こえませんから、脳がその音声の処理をするのに手間がかかってしまいます。
そのため、記憶や理解など、音声の処理以外の重要な機能にまで手が回らなくなってしまうのです。

一時的な難聴ならストレスやうつになることは少ない

難聴といえば、耳の病気や加齢が原因だと思い込んでいる方も多いでしょう。
しかし実は、一時的な難聴であれば、若い人にも起こりえます。
近年若い人に多いのが、「ヘッドホン難聴」。
ヘッドホンやイヤホンを使い、大きな音を聞き続けることによって起こる難聴です。
このほか、ライブハウスに行ったり、クラブに行ったりすることによっても起こります。

多くの場合、一時的な難聴に陥っても、耳を休ませていれば数日間で治ります。
このような場合にはストレスやうつ状態につながることは、ほとんどないでしょう。

難聴の治療には補聴器が不可欠

難聴は、補聴器での治療が有効です。
補聴器を使えば、脳が音声を理解し、処理しやすくすることができるのです。

補聴器の利用によって、聞こえが改善し、コミュニケーションが円滑になることは想像に難くないでしょう。
加えて、コミュニケーションが取りやすくなることにより、精神的な疲労が緩和され、社会からの孤立感やうつ症状の軽減が期待できます。
また、認知という観点でいうと、記憶力や集中力、注意力の向上にも効果があるといえるでしょう。

 

現在では、一人ひとりの難聴の症状や、見た目の好みに合わせることができる補聴器が多く発売されています。
一度、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けるとともに、補聴器について相談してみることをおすすめします。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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