耳鼻咽喉科 渡辺医院

医療法人 社団一医会 耳鼻咽喉科 渡辺医院

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2019年2月13日

怖い病気を見抜く!めまい診断の耳鼻科的アプローチ

当院には、大勢のめまい患者さんがいらっしゃいます。
そして、私はたいてい数分で、患者さんがどんな病気(病名)なのか、およその見当をつけることができます。

皆さんは、そのとき医師が頭の中でどんな作業を行っているか見当がつきますか?
その作業のイメージをありていに言えば、患者さんの症状を「ふるいにかける」ようなものです。

その際に、原則としては、患者さんの症状を、症例数の多い病気から順に当てはめていきます。
違うと判断したら、その次に頻度の多い病気を疑います。
そのほうが効率がよいからです。

医師は、そういうことを瞬時に考えながら診察しているのですが、その優先順には例外があります。
見落としてしまうと命に関わるような危険な病気から、先に除外(当てはまらないことを確認)するのです。

医師の確認のステップ

1・中枢性めまいでないことを確認

まず、命に関わる中枢性めまいでないことを確認します。

めまいでいうと、特に怖いのは、足元がおぼつかず、倒れそうになるようなフラフラめまいです。
フラフラする動揺性めまいの中には、脳梗塞や聴神経腫瘍による「中枢性めまい」が潜んでいます。
急性めまいの初診では、真っ先に、その中枢性めまいでないかどうかを確認する必要があります。

その場合、めまい以外の神経症状や、起立・歩行障害を伴います。
めまい以外の神経症状とは、「眼球の動きがおかしい」「しゃべると呂律が回らない」「顔面や手足などにマヒが出ている」といったものです。

こうした神経症状がないかを確かめるために、次のようなことを行います。

● 患者さんに、医師の指を目で追ってもらう。
● 「パタカ」とくり返し言ってもらう。
● バレー徴候(運動機能のマヒ)がないか確認する。

2・内耳の前庭機能のトラブルでないかを確認

次に、内耳の前庭機能のトラブルを疑います。

めまいで圧倒的に多いのは、末梢性めまいです。
中枢性めまいでないことがわかったら、末梢性めまいを招く可能性が最も高い病気から疑っていきます。

その中心となるのは、三半規管に原因のある良性発作性頭位めまい症、内耳の水ぶくれによるメニエール病、内耳に炎症が起こる内耳炎(前庭神経炎を含む)などです。

これらは、いずれもバランス感覚をつかさどる内耳の器官の障害で、専門的には「前庭機能の障害」といいます。
前庭機能に問題があって起こるめまいの発作には、必ず「眼振」と呼ばれる眼球の揺れが伴います。

3・眼振による診断

次に、眼振からめまいの原因を判断します。

眼球の動きを正確に診断するには、「フレンツェル眼鏡」または「電気眼振計」と呼ばれる器具を用います。

「眼振」とは、簡単に言えば目のふらつきです。
目のふらつきがあれば、そのタイプから、およその病気が推察できます。

頭の向きを変えると方向の変わる眼振が見られるときは「良性発作性頭位めまい症」。
三半規管に耳石が迷い込んでしまったために、その刺激でめまいが起こる病気です。

頭の向きを変えても方向が変わらない水平の眼振が見られるときは「前庭神経炎」。
内耳に炎症が起こっているために、めまいが生じています。
専門家は眼振を見て中枢性のめまいの原因部位を見分けています。

4・起立・歩行に障害がないかを確認

次に、起立・歩行障害のチェックです。

眼振に疑問を持った場合は、念のために別の角度から「中枢性めまい」でないかどうかを確認します。

最初のステップでいったん中枢性めまいを除外しているとはいえ、見落としがないとは限りません。
例えば、指を目で追ったり、「パタカ」と言ったり、バレー徴候を確認したりしても、小脳の下部で起こっている脳卒中はわからないこともあります。

そこで、「重心動揺計」という体重計のようなもので、体の重心がぶれてふらついていないかを確かめます。
患者さんに台の上に立っていただいて、コンピューターで重心の移動(動揺)を分析します。

こうして調べると、多少の重心移動は健康な人にも見られます。
しかし、明らかなふらつきが見られる場合には、「起立・歩行障害あり」と判断し、内耳性障害と中枢性障害の可能性を考慮して治療を進めていくことになります。

最後に疑うのは、耳鳴りを併発しつつめまいを引き起こす代表的な病気「メニエール病」

このような診察の手順を踏んでも、原因を特定できないめまいも少なくありません。
その場合は、めまいの症状に対処しながら、様子を見ていくことになります。

ただし、これはめまいに焦点を絞った話なので、ほかの症状からおおよそ病気の診断がつく場合は、それに沿って治療することになります。

めまいの原因になる病気として有名なのは、まず「メニエール病」です。

メニエール病の場合は、主に回転性のめまい発作がくり返し起こります。
そして、同じ患者さんに耳鳴り、難聴の症状も表れることが少なくありません。

その原因となる病気がほかに考えられない場合には、「メニエール病の疑いあり」と診断し、治療を行います。

「明らかにメニエール病である」という診断を確定するには、特殊な薬を投与して脳の画像検査を行う必要があります。
しかし、ほとんどの場合、そこまでしなくても治療に支障はありません。

メニエール病とは

メニエール病とは、前触れなく突然めまいの発作が起こり、耳が詰まったような感じがして、耳鳴りや難聴を伴う病気です。

メニエール病のめまい発作は、自分や周りのものがグルグル回っているような感じです。

めまいとともに低音が聞こえにくい難聴が起こり、多くの人は耳鳴りを感じます。
そのとき聞こえるのは「ザーッ」「ジーッ」という感じの低音です。
人によっては吐き気を伴い、実際に吐いてしまう人もいます。めまいが止まると耳鳴りも治まります。

こうした発作をたびたびくり返すので、患者さんにとっては実につらいものです。

メニエール病の原因は、内耳にある蝸牛の中を満たしているリンパ液の量が、なんらかの理由で増えてしまうこと(ストレスとの関連が指摘されています)。
蝸牛が水ぶくれになってうまく機能しなくなり、めまいや耳鳴りを引き起こすのです。

メニエール病の治療は薬物療法が主体で、発作を抑える抗めまい薬や、内耳の状態をよくする利尿薬、循環改善薬などを処方します。

患者さんはめまい発作に意識が向きがちだと思いますが、めまいが治まっても聴覚に障害が残る場合が少なくありません。

思い当たる方は、早めに治療を始めていただきたいと思います。

渡辺医院院長 渡辺繁

東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。

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