やりすぎ注意!耳掃除が耳鳴りの原因になることもある
耳掃除のし過ぎが原因で耳鳴りが発生する可能性があることをご存知ですか?
適度な耳掃除は、耳の中を清潔に保つために必要ですが、何事もやりすぎは禁物。
耳の中は少しの刺激でも出血や炎症を起こしやすいデリケートな場所なので適切な頻度と適切な方法でケアすることが非常に重要です。
今回は過度な耳掃除が耳鳴りの原因になる理由と、正しい耳掃除の方法をご紹介します。
なぜ耳掃除が耳鳴りの原因になる?
過度な耳掃除、誤ったやり方の耳掃除によって、耳が傷ついてしまったり、耳垢が耳の奥に押し込まれてしまったりということがあります。
これが原因になって、耳の病気引き起こすことがあるのです。
・外傷性鼓膜穿孔
耳かきや綿棒で誤って耳の奥を突いてしまい、鼓膜に穿孔(破れて穴が開いた状態)ができてしまうことを言います。
いわゆる鼓膜が破れた状態です。
耳の痛みや外耳からの出血が起こり、内耳に影響が出た場合には耳鳴りや難聴といった症状がでることがあります。
・耳垢栓塞
耳掃除の際に、耳垢を奥に押し込みすぎて耳の穴がふさがってしまった状態を指します。
耳垢がベトベトした湿性耳垢の人がなりやすいとされており、耳の中が詰まっている圧迫されているような耳閉感や軽度の難聴、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。
実は大事!耳垢の意外な役割
耳垢は、外耳道の耳垢線というところから出る分泌物です。
垢(あか)という感じが使われていることから、汚いものと思われがちですが、実は以下のような重要な役割があります。
・耳垢には脂肪が含まれており、耳の中の皮膚の表面を保護している
・耳垢は酸性で抗菌作用があり、外から侵入する雑菌から耳を守る働きがある
このように、耳垢には耳を守る重要な役割があり、決して汚いものではないのです。
さらに、耳垢は顎の動きや外耳道の皮膚の働きにより、自然と外へ排出される仕組みになっているので、基本的には耳掃除をしなくても、ほとんど害はありません。
耳の中を傷つけない正しい耳掃除の方法とは
耳掃除は週に1~2回程度、ウエットティッシュまたは消毒液で先を湿らせた綿棒で、耳の穴の入り口をやさしく拭く程度で十分です。
また、お風呂上りや泳いだ後などは、耳の中に水が入ることで皮膚がふやけ、傷つきやすくなっているので耳掃除は控えた方がいいでしょう。
湿性耳垢の人は、奥に耳垢が詰まりやすい傾向にあるので、気になる場合は、定期的に耳鼻科を受診し、耳垢耳掃除をしてもらうことをお勧めします。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。