めまいの種類を正しく知って、医師に伝えられるようにしよう
めまいと一口に言っても、その種類はいくつかあります。
今回の記事では、回転性めまい(グルグルするめまい)、動揺性めまい(フラフラするめまい)、浮動性めまい(フワフワするめまい)という3種類のめまいをご紹介します。
目次
代表的な3つのめまい
患者さん自身の言葉で表現すると、めまいには次のようなタイプがあります。
(1) グルグルするめまい
自分あるいは周囲のものがグルグル回るように見えるめまいです。
このめまいが起こると、患者さんには周囲のものが左右あるいは上下に流れていくように見えます。
正式には、回転性めまいといいます。
(2) フラフラするめまい
フラフラするめまいとは、頭あるいは体が揺れている感じがしたり、実際に歩くときにふらついたりするようなめまいのことを指します。
このフラフラするめまいは、非回転性めまいのタイプのひとつで、正式には動揺性めまいといいます。
(3) フワフワするめまい
このめまいが起こると、体あるいは足元がフワフワしたり、 体が宙に浮いているような感じがしたりするという症状が生じます。
このめまいは、正式には浮動性めまいと呼ばれる、動揺性めまいと同じく非回転性のめまいです。
「フワフワするめまい」と表現されることの多いこのめまいですが、患者さんによっては、「頭がフワッとする感じ」とか、「雲の上を歩くような感じ」「船に乗っているような感じ」などと表現する人もいます。
これら3つが、めまいの主なタイプだと考えていいでしょう。
3つのめまいのタイプを知っておくことで、医師に症状の説明がしやすくなります。
患者さんが具体的に自分の感覚を説明してくださると、専門の医師には、「あ、このタイプのめまいなのだな」と、およそ見当がつきます。
回転性めまい、動揺性めまい、浮動性めまいという名称でなくてもいいので、医師にかかるときには、「グルグルするめまい」なのか「フラフラするめまい」なのか「フワフワするめまい」なのかが伝えられると、診察がグッとスムーズになるはずです。
「グルグルするめまい」なのか「フラフラするめまい」なのか「フワフワするめまい」なのかによって、原因となっている病気にある程度の目星をつける基準になることがあります。
それによって治療法も違ってきますから、「こんな感じのめまい」といった感覚でもよいので、医師に伝えるようにしましょう。
とくに、歩くときにフラフラしてしまうような動揺性めまいの場合は、脳梗塞なども疑われるので特に要注意です。すぐに医療機関に相談しましょう。
特定の動作や状況によって起こるめまい
また、めまいや耳鳴りは、特定の動作や状況をきっかけにして起こる場合もあります。
● 横になったときや、寝返りを打ったときにグルグルめまいが起こる。
これは、「良性発作性頭位めまい症」という、頻度の高いめまいに特徴的な症状です。
● 急に首を回したり、上を向いたりしたときに、めまいが起こる。
これは、脳に血液を送っている動脈の血流が一時的に悪くなったために起こるめまいだと考えられます。
● 大きな音を聞いたときに、めまいが起こる。
このような場合は、耳の「内耳」という部分に何か原因があると考えます。
● 耳を押したり圧をかけたりすると、めまいが起こる。
これは、中耳炎の一種を起こしているときの症状です。
このように、どんなときにめまい・耳鳴りが起こるかも、医師が原因を探るうえでヒン
トになるありがたい情報です。
単純にめまいがするということだけでなく、「どんなめまいで」「どんなときに起こるのか」をメモしておき、医師に伝えるようにしてみてください。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。