血圧もめまいに関係する?
めまいはさまざまな要因によって起こる症状です。
その一つとして血圧との関係が挙げられるでしょう。
今回の記事では、血圧とめまいの関係についてご紹介します。
目次
めまい・耳鳴りと関連性の強い素因
血圧の低下によって「立ちくらみ」が起こるパターンがあります。
つまり血圧とめまいには、一定の関係があるというわけです。
ただし、血圧が上がってめまいが起こるということはありません。
よく「高血圧だからめまいが起こったのではないか」と心配する方がいらっしゃいますが、血圧が上がってめまいが起こるということはありません。
めまいを起こしたときに血圧を測ると高い数値が出ることがありますが、それはめまいを起こして動揺しているために、結果として血圧が上がっているのです。
めまいは、血圧が低い人や、血圧が急に下がったときに起こります。
血圧が下がると、相対的に血流が悪くなり、全身の細胞への酸素の供給が少なくなります。
しかし、全身の機能の中枢である脳には優先的に血液が送られ、少しぐらい血圧が下がっても脳が酸欠に陥らないようになっています。
めまいが起こるのは、そのラインを超えて血圧が低くなった場合です。
むしろ高血圧の方は、服用している薬が効きすぎた場合などに、めまいを起こしてしまう可能性があります。血圧は、下げれば万事よいというものではありません。
めまいの原因になる可能性のある高血圧の薬
高血圧の薬は、降圧薬と呼ばれます。
その種類には、主に以下のようなものがあります。
簡単にまとめておきましょう。
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
薬品名:セタプリル、ゼストリル、タナトリル、コバシル、エースコールなど
効果:血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やしたりする作用があり、血圧を上げる働きするアンジオテンシンⅡが作られるのを防ぐ効果
副作用:空咳やのどの違和感、むくみなど
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
薬品名:ミカルディス、ディオバン、ブロプレス、ニューロタン、オルメテックなど
効果:受容体に結合して血管を収縮させ、血圧を上げる作用があるアンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨ぐ効果
副作用:軽い動悸やめまいなど
カルシウム拮抗薬
薬品名:ノルバスク、アムロジン、ニフェジピン、ヘルベッサー、バイミカードなど
効果:カルシウムイオンが細胞内に流れ込むのを抑える効果
副作用:顔のほてり、むくみ、頭痛、動悸、便秘など
利尿薬
薬品名:ナトリックス、アルダクトン、フルイトランなど
効果:塩分と水分の排出を促す効果
副作用:脱水・低カリウム血症、糖尿病、痛風など
α(アルファ)遮断薬
薬品名:カルデナリン、デタントール、エブランチル、ハイトラシン、バソメットなど
効果:血圧を上げる神経の働きを抑える効果
副作用:立ちくらみやめまいなど
β(ベータ)遮断薬
薬品名: テノーミン、メインテート、ロプレソールなど
効果:心臓から拍出される血液の量を抑えたり血管の収縮を弱めたりする効果
副作用:脈拍数が少なくなる、手足が冷えるなど
高血圧で薬を処方されている方には、きちんと薬を飲んでいるからと安心して、ふだん血圧をチェックしていない方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、血圧は気候や体調によって上がったり下がったりします。
血圧の薬を常用している方ほど、定期的に血圧を測って、適正範囲になっているかどうかをチェックしていただきたいと思います。
そして、もしも「薬を飲んだあとの血圧が下がりすぎる」と気づいたら、お医者さんに相談して薬を替えたり、量を減らしたりすることも検討してみてください。
そして、めまいを起こしているときには、血圧を下げる薬を飲むと逆に危険なケースもありますので注意してください。
めまいは、脳への血流が足りなくて起こることがあるので、そのとき薬で血圧を下げると、さらに血流が不足して「脳梗塞」を起こす可能性があるからです。
高血圧の治療を受けている方は、正しい対応をするためにも、めまいを起こしたら病院で相談することを心がけてください。

渡辺医院院長 渡辺繁
東大病院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を経て1988年に渡辺医院開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉学会・日本めまい平衡医学会所属。